『パラレルパラダイス』第175話『暗君anguish』
それではさっそく、2021年12月13日(月)発売の週刊ヤングマガジン2・3号に掲載された『パラレルパラダイス』の第175話『暗君anguish』の感想や考察を語りたいと思います。
お手元に漫画を準備して読みながら見ていただくと、私はこう思う、これはこうだろうなぁなど、よりこのブログを楽しめるかと思います。
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第175話『暗君anguish』感想
まずは第175話『暗君anguish』の物語に触れつつ、感想を語ります。
それぞれの”気持ち”
仁科は<嫉妬深い神>である金城を殺すためには、現在の国母である由真を殺さないといけないと考えている。
リーメアリーは、忠誠を誓う国母を殺すことを許さない。
ルーミは愛する人である陽太が、他の人に愛情を向けているのを複雑に思う。
マロンは願いを叶えたものの、追放されてしまう。
そしてリーメアリーは、マロンと陽太を冷静な目で見る。
国母である由真は、仁科に怒りを向ける。
それぞれの感情の動き方が繊細であり、そして大きな意味を持つ。
その感情が行き着く先が何かを考えるのが楽しみで仕方がありません。
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第175話『暗君anguish』の考察
物語に触れ、感想を紹介した次は、第175話『暗君anguish』の考察をしていきます。
今回は、リーメアリーや国母こと由真の考えについて考察していきます。
anguishとは
今回のサブタイトルになっている『anguish』とは『苦悩』という意味になります。
この苦悩というのが誰にとっての苦悩かのかにも注目して、物語を考察していきましょう。
ダブルスタンダードが招いた幸運
物語の最後で、国母様こと由真がナクタをなじった後に「殺せ!!!太多陽太に…殺させるのだ…!!!」と言いました。
この言葉から読み取れる国母様(由真)の知っている情報は次になります。
- 陽太が自分たちと同じ世界にいることを知っている。
- 陽太が生きていると確信している
- 陽太であれば、仁科(慈悲深い神)を殺す方法を知っている
1について
国母様こと由真の言葉は、陽太が自分たちと同じように三千年の時を超えてこの世界を生きていることを知っていないと出てこない言葉です。
逆説的に言えば、一般人はともかくとして、ガーディアンたちですら知らなかった由真はこの世界に現れる三千年に1人の男が陽太であることを知っていたということになります。
つまり<嫉妬深い神>である金城、その金城の三千年前の彼女兼おもちゃだった『国母様』である由真、<慈悲深い神>であり『ニーナ』こと仁科の3人に加えて、陽太もこの世界にいるということは、必然だったということが想像できます。
但し、この場にはナクタがいたため、彼女の口から三千年ぶりに現れた男が偶然にして陽太という知り合いだったことを知ったという可能性も排除しきれない点については、頭の隅に置いておく必要があります。
2について
陽太がこの世界を生きていることを知っていた由真。
それは元からそういう計画だったからなのか、ナクタの口から聞いたからなのかは断定できません。
ただ彼女は、自分がガーディアンたちに命令したことを思い出すべきです。
その命令は『この世界に現れた男を殺せ』というものです。
もしかしたらナクタの首に印が現れていることから、ナクタが陽太と交尾をしたことを知っているかもしれません。
そのことから、少なくともナクタは陽太に負け、交尾をしたということは想像できるはずです。
国母様がどこまで情報を知っているのかは分かりませんが、ナクタがここにいることから、ナクタが陽太たちと邂逅した時点を国母様である由真が知る最新の情報だと仮定すると、その情報はあまりにも古すぎます。
少なくとも由真の口ぶりからは、現在の陽太たちは、サンドリオにいる<嫉妬深い神>を目的に活動しているということになっているはずです。
しかし、現状は本物の<嫉妬深い神>がいるカルンナッハにいます。
しかも生きています。
最初は陽太を殺す気満々だったユーマやトリスが、結果的に陽太を殺さずに、好意的に陽太をカルンナッハへ向かわせたこと、そしてリーメアリーが実質的な内通者になっていたことが、陽太が生きている大きな理由でしょう。
ユーマやトリスが、自分の使命ではなく想いに従ったからこそ陽太は無事にカルンナッハへ向かうことができた。
途中でサキュバスに襲われたものの、リーメアリーの助太刀があったから、なんとか無事に済んだ。
リーメアリーは陽太を殺さず、拘束するだけにしたから、陽太は生きている。
実のところ、陽太が生きているというのは、割と偶然というか、かなり小さな針の穴に糸を通すような小さな偶然のおかげでもあります。
なんだったら、ミミが行ったイチゴの公開処刑を阻止するときに、陽太の命はなくなっていた可能性さえあります。
今回は本当に死ぬはずだったけれど、偶然にして他の要因が加わったから、死なずに済んだ。
結果的に陽太が生きているからいいものの、自分の命令によって陽太が死んでいる可能性があることを考えられていない限り、今の由真は冷静ではなさそうです。
3について
<慈悲深い神>である仁科は、陽太や他の者が何をしても殺すことができませんでした。
それにも関わらず、国母である由真は「殺せ!!!太多陽太に…殺させるのだ…!!!」と発言している。
陽太のようにただ単に見つけ次第殺せではなく、わざわざ陽太に殺せと指定しているあたり、陽太でないと仁科は殺せないというのは確定と考えてよいでしょう。
おそらくになりますが、<嫉妬深い神>である金城を殺す剣があるように、<慈悲深い神>である仁科を殺すための剣や手段があるのは確定でしょう。
またわざわざ陽太を指定しているあたり『男を見つけ次第殺せ』という命令は『男を見つけ次第、生け捕りにしろ』にすり替わるのではないでしょうか?
それぞれの苦悩
今回のサブタイトルは『暗君anguish』。
anguishは苦悩という意味です。
また『暗君』という言葉も重要であり、これは『無能な統治者』というような意味があります。
つまりサブタイトルの本当の意味は『無能な統治者の苦悩』となります。
この『無能な統治者』とは誰かについて考えましょう。
リーメアリーだった場合
今回の話で登場場面が多いのはリーメアリーです。
彼女はカルンナッハを納めるガーディアンです。
つまり『カルンナッハの統治者』と見ることが出来ます。
そうして考えた場合、彼女の無能な面や苦悩にあたるのは、どのような部分でしょうか?
まずは『無能』な面についてあげてみます。
- 国母様の命令に背いたユーマやトリスの依頼を受け、陽太を殺すことなくカルンナッハへ招き入れたこと。
- 国母に背き、すでにお尋ね者になっているルーミに自由を許していること。
- 国母様の命令に背き、同僚ガーディアンであるマロンが男と交尾をすることを許したこと。
- 男である陽太を殺さず、人を殺したことがないという理由で拘束するだけにしたこと。
こう見てみると、自らというよりは、他人の国母様に対する反逆に対しては割と寛容に見えます。
人を殺したことがないから、陽太を殺さずに拘束するだけで済ました点が唯一、自分だけの意思が介在している点になります。
さて、次は苦悩について考えてみましょう。
- この世界の女性を崩月による死から解放したいが、そのためには国母様に反逆しないといけないこと。
- 陽太を殺すことが出来ず、拘束することしかできないこと。
この辺りでしょうか?
こう考えると、割と苦悩な面は少ない気がします。
最も、敢えてもう一つだけ挙げるとすれば、マロンを街から追放しないといけなかったことでしょうか?
国母様(由真)だった場合
彼女に対しては情報が少ないため、まずは『無能』な点について考えてみましょう。
- ガーディアンたちへの<嫉妬深い神>に対する教育不足
- 陽太だけでなく、陽太と交尾したものを漏れなく殺すように命令したこと
国母である由真はナクタに向かって「ナクタ!!お前は馬鹿なのか!?サンドリオに<嫉妬深い神>がいるわけない!!」と発言していました。
ただナクタはサンドリオに<嫉妬深い神>がいないことを知らなかったし、なんだったらルーミも知らなかった。
それどころか、グランドスールとまで呼ばれていたユーマやトリスでさえ、<嫉妬深い神>がカルンナッハにいることを知らなかった。
結果として陽太たちと行動することによって、ルーミは<嫉妬深い神>の本当の正体について知ることができました。
ただカルンナッハにいるリーメアリーやマロン、そしてハイランダーは、<嫉妬深い神>がカルンナッハにおり、そして神殺しの剣で封印されていることを知っていました。
前提として、カルンナッハを統治するガーディアンであるリーメアリーやマロンが知っているのは良いとして、いくらリーメアリーと親交があるとはいえ、人間という種族からは外れているハイエルフであるハイランダーが知っているというのは、いささか問題があります。
彼女の行動範囲がもう少し広ければ、<嫉妬深い神>の情報が漏洩しまくり、カルンナッハは大変なことになっていたことでしょう。
いくら戦闘能力があるとはいえ、国母である由真は、ハイランダーのように<嫉妬深い神>の秘密を知る者を殺すように命令しておくべきでした。
またガーディアンたちへ<嫉妬深い神>についての教育不足もうかがえます。
もしかしたらナクタが重要人物として扱われていなかったのかもしれませんが、少なくともナクタが<嫉妬深い神>がカルンナッハにいることを知らなかったのは事実です。
それどころか、カルンナッハの近くの街を統治していたユーマやトリスが知らないことはいささか問題があります。
カルンナッハの街の警備がしっかりしているとはいえ、少なくともそばにある街の人間は、カルンナッハを全力で守る必要があるはずです。
仮に拘束されて口を開いた場合のことを考えて、敢えて教育をしていなかったとしても、ある程度の情報統制は必要だったはずです。
正しい教育や情報統制が取れていないあたり、由真が国母として君臨できたことは、彼女にその資質があったというよりも、長生きしているからという点に尽きるような気がします。
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感想・考察記事
まとめ
今回は2021年12月13日(月)発売の週刊ヤングマガジン2・3号に掲載された『パラレルパラダイス』の第175話『暗君anguish』の感想や考察を語りました。
みなさんは今回のお話を読んだ時にどう思いましたか?
ぜひコメント欄などで感想を教えていただけると、嬉しいです。
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