『パラレルパラダイス』第171話『因果』
それではさっそく、2021年11月8日発売の週刊ヤングマガジン50号に掲載された『パラレルパラダイス』の第171話『因果』の感想や考察を語りたいと思います。
お手元に漫画を準備して読みながら見ていただくと、私はこう思う、これはこうだろうなぁなど、よりこのブログを楽しめるかと思います。
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第171話『因果』感想
まずは第171話『因果』の物語に触れつつ、感想を語ります。
陽ちゃんのためだよ
仁科は不気味な笑みを浮かべながら「あーあ…バレちゃった」と言った。
過去に因縁のあるハイランダーは、睨むように険しい顔をして仁科…いや、彼女にとってはニーナを見る。
いきなり表れて正体を現した仁科に、陽太は「仁科はおれを騙してたのか」と聞く。
仁科は優しいような、憐れむような表情を浮かべながら「…ごめんね」と口にする。
そんな仁科に、陽太は叫ぶように問う。
「なぜだ!!」
仁科は、やはり不気味な笑みを浮かべながら答える。
「陽ちゃんをここに連れてきたかったからだよ」
それを聞いた陽太は戸惑う。
だがすぐに次の疑問が沸き、仁科に言った。
「だったら…最初から全てを話せばいいだろ!!」
陽太は、まるで仁科に騙されていたことを振り切るかのように、不必要なほどの大きな声で言う。
だが仁科は、最初から陽太に真実を告げるべきではないと考えていた。
それは全てを話したら、陽太はここに来てくれなかったと思うからだった。
仁科はそのまま「わかるよね」と言うと、<嫉妬深い神>の衝撃的な正体を口にした。
「<嫉妬深い神>は金城君だよ」
<嫉妬深い神>の真の正体を聞いた陽太は苦々しい顔をし、その名前に心当たりのないルーミとリーメアリーは「えっ?」「…」と戸惑いを隠せないでいた。
二人のうち、陽太と親しい間柄になっているルーミが「どういうこと?ヨータの知ってる人なの?」と陽太に聞いた。
ルーミの問いに「…ああ」と答えた陽太は、金城について話し始めた。
陽太はまるで怒りを表しているような話し方でしたね……
おれは仁科に操られていたのか
陽太は重い口を開く。
「元の世界にいた頃…剣道で…10年間一度もおれが勝てなかった相手だ…」
だがその説明は陽太にとっても、仁科にとっても完璧なものではなかった。
だからこそ、仁科は「それだけじゃないよね」と陽太の言わなかった真実を話していった。
「陽ちゃんは金城君にもっとひどいことをされたよね。いつも金城君から逃げていたよね。だから…私は何も知らない振りをして、ここへ連れてくるしかなかったの」
陽太は「……」と仁科から目をそらす。
少ししてから陽太は「サーニャは…なぜ仁科を<嫉妬深い神>だと言ったんだ?」と口にする。
その答えは至ってシンプルなものだった。
「それはね、サーニャと会う前の夜に家を訪れて脅しておいたの。私が<嫉妬深い神>だと言うように、陽太がカルンナッハへ赴くよう仕向けるように」
サーニャが嘘をついた理由を言った仁科は、再び不気味な笑みを浮かべる。
「彼女、なんでも言うことを聞いてくれたよ。昔、大分 懲らしめたから」
それを聞いた陽太は、仁科に真っすぐに聞いた。
「おれは仁科に操られていたのか」
陽太の言葉を仁科はすぐに否定した。
「そんな悪意があった訳じゃないよ。私はこの世界をこんな風にした金城君を陽太に殺して欲しかっただけ。陽太にしか殺せないから。だから…何も知らない振りをして、ここへ連れてくるしかなかったの」
そして今度は、仁科が陽太に真っすぐに聞く番だった。
「金城君を殺せる?」
仁科の問いに対する陽太の答え。
それは「…無理だ」というものだった。
仁科はまるで意地悪をするかのように、陽太に言う。
「私のことは殺そうとしたのに?それでこの世界の人間を救えるのならと言って…」
それを聞いた陽太は、歯を食いしばってから、恐怖心の混じった顔で言った。
「無理な物は無理だ!!!」
陽太の言葉を聞いたルーミは戸惑い、仁科は冷たい目で陽太を見る。
ずっと話を聞いていることしかできないでいたリーメアリーやハイランダーも戸惑っていた。
そんな状況の中で最初に動き出したのは、リーメアリーだった。
自分の腰にある剣に手をかけたリーメアリーは、そのまま剣を抜刀して仁科を切りにかかる。
だが不思議な守りに阻まれて、剣は仁科に当たることはなかった。
「ちっ!!」と悔しそうなリーメアリーに、仁科は「安心して」と言った。
それは簡単な理由だった。
「私は人間の味方だから」
優しそうに言う仁科。
だがすぐに汚いものを見る目になり、ある人物に向けて言った。
「でもハイエルフは別」
その鋭い眼差しを浴びたハイランダーは「わかった!!わかった!!おれは何もしない!!」とまるで命乞いをするように言った。
どんどん物語が動いていきますね……
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一人にさせてくれ
どんどん秘密が明かされていき、場は混乱へと向かいつつある。
そんな中で、陽太は「頼む」と仁科に言った。
「少し1人にさせてくれ」
まだリーメアリーが仁科に警戒をしている。
だが仁科は返事をしない。
そしてこんな状況になり、1人にしてくれと言った陽太をルーミは「……ヨータ」と心配するのだった。
陽太にとって、ある意味で一番恐れるものが目の前にある。
だからこそ、1人になって心を落ち着けたかったのかなと思いました。
あいつなら…やりかねない…
1人になった陽太は、遠くの山々を眺めながら考える。
『金城が<嫉妬深い神>だった…。この世界の人間に20歳で死ぬ呪いをかけ、傍若無人に振舞ったという三千年前の男は…金城だったんだ…。あいつなら…やりかねない…絶対にやる…』
陽太は天を仰ぐ。
「ヨータ…一緒にいていい?」
陽太のもとにやってきたルーミは、陽太が返事をする前に陽太の横に座った。
そして気になっていたことを聞く。
「本当の<嫉妬深い神>は…ヨータの知り合いだったんだね。どういう人だったの?」
ルーミの質問に、陽太の顔がこわばる。
そして言った。
「おれの母さんを殺した男だ」
それを聞いたルーミは「……」と絶句する。
そんなルーミに、陽太は言い切った。
「おれは絶対 あいつに逆らうことが出来ない」
この物語の核は、やはり陽太たちがもといた世界である三千年前にあることは確かなのかなと思います。
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第171話『因果』の考察
物語に触れ、感想を紹介した次は、第171話『因果』の考察をしていきます。
力のある人間の共通点
パラレルパラダイスの世界において、陽太たちが今いる時代……いや、世界には、不思議な力を持った人間が何人もいます。
正確には、人間型の生物という表現が正しいかもしれません。
魔女のサーニャは、文字通りに魔女であり、純粋に戦闘のために育成されてきた仁科たちのようなガーディアンとは、違う魔法のような力を行使することができました。
サキュバスは、男から文字通り性を吸い取ることで、男を無力化することができました。
そして仁科は<嫉妬深い神>と偽ることのできるほどの、驚異的な再生能力や今回使用したような不思議な守りを展開することができます。
仁科を<嫉妬深い神>と信じていた陽太は、一部の例外があれど、交尾をすることでこの世界に生きる女性たちを崩月から救うことができます。
人型の生き物で陽太と同じ声質を持つカルは、女性と交尾をすることで、崩月を無視して女性たちを殺すことができます。
ここまでは物語中で確認できたことです。
では本物の<嫉妬深い神>である金城の能力は?
少なくともここまできて『20歳までに崩月によって死ぬ呪いをかけたという部分が嘘だということはない』でしょう。
ただ本物の<嫉妬深い神>である金城の能力がこれだけとは思えません。
封印されいる彼の体は明らかに巨大化しており、通常の人間の大きさではありません。
ここにも秘密がありそうです。
さて、ここまで不思議な能力を持つ者たちをまとめました。
その中で人間あるいは元人間だと言い切ることのできるのは、陽太と仁科、そして金城の3人です。
この人物の共通点は、三千年以上前の地球で生きていたという点です。
また経緯の違いはあれど、それだけの時間が経過しながらも、生き続けているという共通点があります。
この世界において『不思議な力を持つ=三千年前に生きていた』可能性について考える必要がありそうです。
仁科はなぜハイランダーを敵視する?
仁科は自身のことを人間の味方だと言っています。
しかしハイエルフは別枠のようです。
それはハイエルフであるハイランダーが、仁科と壮絶な戦いをしてしまったからということも考えられますが、実はそうではないのかなぁと思っています。
ずっと『仁科=嫉妬深い神』という先入観の中で考察をしつづけていたからか、忘れていた存在がいるのです。
それこそが<慈悲深い神>です。
仁科が人間の味方をするというのはまるっきり嘘ではないのかなと思います。
しかし陽太の幼馴染という点を考えても、こんな世界で一律に人間の味方をするのには理由があるような気がします。
それこそが『仁科=慈悲深い神』説です。
嫉妬深い神の対になる伝説の存在。
嫉妬深い神の呪いの力に抵抗するために力を振るう慈悲深い神。
だがその力で完全に人類を守ることはできなかった。
一部のものだけがサキュバスや魔女のような力を得て長生きをする結果になり、大多数は嫉妬深い神の呪いを受けてしまった。
慈悲深い神の力によって結果的に生まれた様々な種族。
その一部がハイエルフである。
とかそんな妄想をしています。
自分の力では完全に守れなかった。
それどころかわけの分からない力を持った者を生み出してしまった。
それが物語の一部というか、過去にあったりするのかなぁと思ったり。
みなさんはどう思いますか?
殺せるはずなのに?
ふと思ったのですが、嫉妬深い神である金城は、神殺しの剣が胸に刺さった状態で封印されているように見えました。
神殺しの剣の力が真に力を発揮しているのであれば、金城は死んでいるはずです。
しかしそうはなっておらず、この世界は呪われたまま。
この部分が、仁科が陽太を騙してまで金城のもとへ連れてきた理由なのではないかと思います。
何らかの理由で男が金城を封印したのでなければ、神殺しの剣の現状に説明がつきません。
これは、偶然にもこうなったからなのか、条件がそろえば殺せるのかを考察するべきかなと思います。
自分に使ったらどうなる?
男にしか使えないという神殺しの剣。
そしてその剣は、今は金城を封印している。
三千年前に傍若無人に振舞った金城を男が封印したのでなければ、誰が封印したのかというのが気になります。
ここでヒントになるのが、仁科がコールドスリープから目覚めたという点かなと思います。
コールドスリープによって、疑似的に冬眠状態に近い状態を生み出している。
これは言い換えれば疑似的に封印しているということもできるのではないでしょうか?
よほどの重病でない限りは、自力でコールドスリープの機械に入る必要があるし、例え重病でも、自分の意思がないとコールドスリープすることはないのでは?と思います。
つまり、仁科は約三千年の間に自主的にコールドスリープ状態になった可能性が大きいと考えます。
同様にして、金城もどうにかして長生きさせる必要があります(物語的に)。
そのために神殺しの剣が必要だったのではと、私は考えます。
神殺しの剣が男にしか使えないというのは真実であると仮定したときに、神殺しの剣を男が使えば確実に神を殺せるというのは真実とは言い切れません。
例えば、神殺しの剣を殺しの対象でない男が使えば対象の神を殺せるというような、まだ明かされていない秘密が隠されている可能性を考慮しなければならないからです。
そんなまだ明かされていない秘密の中に『神殺しの剣を男の神が自分に使うと、封印(疑似冬眠)に近い効果になる』というようなことがあるとすれば?
まぁ、こんなことを考えているとキリがないのは確かなんですけど、物語が物語なので、ifについて考えることは無駄ではないと思いますよ。
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まとめ
今回は2021年11月8日(月)発売の週刊ヤングマガジン50号に掲載された『パラレルパラダイス』の第171話『因果』の感想や考察を語りました。
みなさんは今回のお話を読んだ時にどう思いましたか?
ぜひコメント欄などで感想を教えていただけると、嬉しいです。
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