『パラレルパラダイス』第148話『失われた時間を求めて』
それではさっそく、2021年3月8日発売の週刊ヤングマガジン15号に掲載された『パラレルパラダイス』の第148話『失われた時間を求めて』の感想や考察を語りたいと思います。
お手元に漫画を準備して読みながら見ていただくと、私はこう思う、これはこうだろうなぁなど、よりこのブログを楽しめるかと思います。
第147話の感想・考察はこちらから
第148話感想
まずは第148話の物語に触れつつ、感想を語ります。
まだ後戻りはできる……
ユーマとトリスは椅子に座って街を見下ろしながら、国母様と退治する道を選んだことについて話していた。
トリスはミミの口さえ塞げば後戻りできるというが、ユーマは考え抜いて選んだ道なので後悔はないと、はっきり意思を表明した。
二人の今の目的は魔女のサーニャに会い、嫉妬深い神の記憶を取り戻させて呪いを解くこと。
もちろん記憶を取り戻した嫉妬深い神が簡単に呪いを解くという保証はないし、むしろ事態が悪化する可能性さえある。
けれど三千年も崩月に怯えながら死んできた今、何もしないことこそが悪だと考えることにする。
もし嫉妬深い神の記憶が戻ってもダメなら、人間の主神たる『慈悲深い神』に祈るしかないとユーマは口にする。
神頼みして意味があるのかとトリスは口にするが、ユーマは伝説の存在だった嫉妬深い神が自分たちの前に現れたのだから、慈悲深い神もどこかに存在して、祈りを聞いてくれるかもしれないとトリスに説明するように言った。
もっとも、そう言ったユーマ自身も、まだ仁科が嫉妬深い神だと信じてはいないのだが。
考察の一番のポイントは『慈悲深い神』でしょう!
前回の考察で私はその存在がいればみたいなことを言いましたが、まさか本当に存在し得る存在だとは!?
思わず興奮しました。
合理的・感情的
話が一通り終わると、今度はトリスが男との交尾についてどうするかと口にした。
交尾をすれば、少なくとも自分たちの崩月は避けられる。
トリスが口にしていることは、合理的なことではある。
だがユーマは合理的ではなく正義感を口にした。
この街だけて数万人の人間がおり、その全てを男との交尾で救うことは不可能。
だからこそ、保護すべき住人を差し置いて、自分だけが交尾をして生きながらえることはできない。
これがユーマの結論だった。
トリスは相変わらず合理的だと苦笑いしつつも『自分の命に関わることなのだから、トリスが交尾することは止めない』というユーマの言葉を否定し、ユーマに付き合うことに決めた。
合理的ではないとユーマが口にすると、トリスは笑いながらたまには感情的で動きたいときもあると言うのだった。
長期的な視点で街を守るということを考えれば、ユーマたちグランドスールが長生きした方が合理的だと思います。
しかしそれをせず、ユーマとトリスは街の住人を保護すべき存在とし、大切にしているが故にその道を捨てた。
この場面は、ある意味で政治に対する風刺みたいなものを感じました。
魔女の家に
交尾をするとユニコーンに乗れなくなるということを知ったユーマ。
そんなユーマに謝るルーミだが、ユーマはそんなことは気にしなかった。
ユニコーンの引く荷台には、ちょうど人が入りそうな木箱が載っている。
こうして再び魔女・サーニャの家を訪れた陽太は、扉をノックする。
前とは違い、なかなか出てこないことにいないのかと心配になるが、無事に魔女が出てきた。
陽太がサーニャに対して『生きた脳を持ってきたぞ』というと、木箱からどんどんと勢いよく音がした。
その木箱を見たサーニャは随分と威勢がいいなという。
その後サーニャはすぐに何かを感じ取り、そちらを向くとそこには友好的な顔をする仁科がいた。
そんな仁科にサーニャは話しかける。
「久しぶりだね<嫉妬深い神>
まさかホントにあんたが起きていたとはね」
その言葉を聞いたユーマは、本当に仁科が嫉妬深い神だということを信じた。
陽太は『嫉妬深い神=仁科の記憶を取り戻してもらいたいんだ』というと、サーニャは少し間を置いてから、脳みそを確認させてもらうと言って木箱の蓋を開けた。
そこには手足を塞がれて口も塞がれて自由を失ったミミがいた。
サーニャがユーマに何をしでかしたのか聞くと、ユーマは住人を殺して喰っていたと事実を告げる。
それを聞いたサーニャは驚いた顔をして「そりゃ気の毒なことをしたねぇ」と言う。
ユーマが思わず「は?」と言うと、サーニャはこっちの話だと言ってから、見られていたら喰いづらいから中に運んでおいてくれと話を逸らした。
サーニャの反応を見ると、ミミのしていた人にとっての罪である『人を殺して喰らうこと』には大きな意味があるようです。
またサーニャが仁科を見ているとき、心なしか苦笑いというか引き攣ったような顔をしているように感じました。
そのことに意味があるのでしょうか?
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いよいよ記憶を
魔女の家に入ると、さっそく仁科の記憶を取り戻すことにする。
サーニャが本当に始めていいのかと聞くと、ユーマが少しだけ待つように言ってから、仁科の上に剣を構える。
陽太が「何のマネだ!?」と聞くと、ユーマは念の為だという。
全人類に死の呪いをかけるほどの悪人である嫉妬深い神が、何をしでかすかわからない。
だから用心に越したことはないと言う。
仁科はその剣を不思議そうに見上げるが、陽太はその言葉を苦々しい顔で聞くことしかできなかった。
仁科は剣よりもサーニャが何をするのかの方が怖いようで、素直に「…怖いんだけど」と口にするが、サーニャは心配いらない、そんなものでは殺せないと断言した。
サーニャは嫉妬深い神について深く知っていそうな様子です。
嫉妬深い神が伝説の存在であったことを考えると、慈悲深い神のことも聞けば知っていそうですが。
手のひらの瞳
突如として腰の痛みを訴えるサーニャ。
陽太がどうしたのかを聞くと、昨日尻餅をついて腰を痛めたという。
年は取りたくないもんだねというサーニャに、陽太は三千年も生きてて何言ってんだと軽口をきく。
その後、サーニャは最後の確認、本当にいいのか、こいつの記憶を取り戻しても何が起こっても知らないよと確認をしまくる。
陽太が頼むと口にすると、サーニャは仕方ないねと仁科に手をかざす。
その手のひらには瞳のようなものが現れていた。
目を見開く仁科の額に手を当てたサーニャがいくよというと、仁科に向かって雷のようなものが現れた。
果たして本当に嫉妬深い神の記憶は蘇るのか。
魔女・サーニャは本当に約束を果たすのか……
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第148話考察
物語に触れ、感想を紹介した次は、第148話の考察をしていきます。
対になる神
ユーマの口から『慈悲深い神』という単語が出てきました。
偶然にも前回の考察で慈悲深い神みたいなのがいてもいいんじゃないかと記しましたが、まさか伝説の存在とはいえ本当に存在するとは!!
ユーマ曰く慈悲深い神は『人間の主神たる存在』であるらしいのですが、何をして人間の主神と言われているのかということが疑問になります。
少なくとも『人間の味方である存在』として『慈悲深い神』を定義するならば、<嫉妬深い神>は<人間の敵である存在>となり、対になる神であると考えることができます。
この世界に存在する神は、陽太がこの世界にやってきてから初めて出会った自縛神ジーニアスも該当します。
もっともジーニアスはミースの自縛神であるという問題点がありますが、少なくともこの世界を救うことを陽太に依頼したという点では人類の味方であると考えることができます。
そもそも私たち読者視点で見ると、嫉妬深い神の存在を疑う前に、事前にジーニアスという存在が確認できたが故に、嫉妬深い神の存在を信じることができました。
また嫉妬深い神にはその復活を目論む黒き夜明けという魔女の信仰集団がいました。
この魔女たちのように嫉妬深い神の復活を目論むということは、少なくとも神の復活以上のメリットが魔女たちにあったはずです。
魔女の寿命と呪いの時期
少なくともサーニャが三千年単位で生きていることから、魔女たちは崩月では死なない=人間よりも高寿命な存在になります。
また三千年という時間単位は、嫉妬深い神の呪いがこの世界に降りかかった時期と一致します。
サーニャが三千年生きていることを考えると、サーニャは嫉妬深い神が呪いを施した時のことを知っているはずです。
しかし彼女はそのことについては全く口にしません(聞いたら答えてくれるか、また別の条件と引き換えに教えてくれるかもしれませんが)。
魔女たちの中には、サーニャのように長生きをしているかつ当時の出来事を知っている者がいるはずなのですが……。
サーニャにとって仁科の存在とは?
魔女が人間よりも遥かに長生きであることを考えると、人間の寿命が短命化すればするほど、この世界を支配しやすいと考えることができます。
黒き夜明けに所属していた魔女たちの中には、もしかしたらそのようなことを考える者もいたのかもしれません。
もちろん全ての人間が同じ目的・意思で行動しているわけではないように、魔女たちも全員が同じ目的・意思で行動しているわけではないでしょう。
サーニャは仁科のことを嫉妬深い神と認識していますが、仁科に接するサーニャは仁科のことを好意的に受け入れているようには見えません。
ただ仁科の記憶を復活させることに対しては条件を出したものの、協力することを否定はしなかったので、自分を脅かす存在ではなさそうです。
ただ何度も何度も確認をしていたことから、少なくとも嫉妬深い神の存在は、積極的に受け入れる存在ではなさそうです。
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サーニャは何に驚いたのか?
前話の最後でサーニャは謎の訪問者に驚いていましたが、今回は腰を痛めた程度で無事に出てきました。
あんなに驚いていたのに、どうしてサーニャが無事に出てきたのかという点に対して、疑いの目を向けないわけにはいきません。
サーニャ、別人説……も考えられるけれど
パラレルパラダイスの世界の魔女は、時としてモンスターに変化します。
それと同じように、自分よりも高い魔力を持つ高位の魔女に変化・進化した存在がいたとしてもおかしくはありません。
そのような存在がサーニャと入れ替わっていた、もしくはサーニャを乗っ取っている可能性もありえませんか?
まぁ高位の魔女の存在は私の妄想ですが、今回のサーニャの登場シーンで、不審な点が1箇所ありました。
私が不審に思ったのは次の点。
1.サーニャが仁科に言った「久しぶりだね<嫉妬深い神>。まさかホントにあんたが起きていたとはね」というセリフ。
ではなぜこのような点が不審に感じるのかを説明しましょう。
サーニャと仁科は初対面ではない
サーニャは久しぶりと言いつつも、まさかホントにあんたが起きていたとはねと、あたかも初対面のような言葉を口にしました。
サーニャが久しぶりと言っているからには、サーニャは嫉妬深い神と会ったことがあるということです。
サーニャと仁科は初対面であるはずですが、仁科のことを嫉妬深い神として認識しました。
少なくともサーニャが嫉妬深い神と会ったことがあるというのは確実でしょう。
しかしサーニャは嫉妬深い神を視覚的ではなく存在を感覚的に確認したような描写がありました。
このような描写から、嫉妬深い神=仁科の数式が実は正しくないのでは?という疑念が浮かびました。
嫉妬深い神も魔女であり、他の存在に取り付くことで生きながらえているというようなことがあるのではないでしょうか?
黒き夜明けに所属していたのが魔女ばかりであったことを考えると、嫉妬深い神が高位の魔女である・あったということは、あながち妄想ではないのかもしれません。
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まとめ
今回は2021年3月8日発売の週刊ヤングマガジン15号に掲載された『パラレルパラダイス』の第148話『失われた時間を求めて』の感想や考察を語りました。
みなさんは今回のお話を読んだ時にどう思いましたか?
ぜひコメント欄などで感想を教えていただけると、嬉しいです。
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