『彼女、お借りします』満足度215:楽園と彼女28
それではさっそく、2021年12月1日(水)発売の週刊少年マガジン1号に掲載された『彼女、お借りします』満足度215『楽園と彼女28』の感想や考察を語りたいと思います。
お手元に漫画を準備して読みながら見ていただくと、私はこう思う、これはこうだろうなぁなど、よりこのブログを楽しめるかと思います。
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満足度215:楽園と彼女28
まずは満足度215:楽園と彼女28の物語に触れつつ、感想を語ります。
“死ぬまでの暇潰し”
麻美は『みんな”恋”が好きだな』と思っていた。
それは簡単なことだった。
大学の飲み会は”イケメン””メンヘラ””ダイエット”の3ワードがあれば進んでいく。
スマホでもコンビニでも、それはさほど変わらない。
それが悪いと思っているわけでもなく、運命の相手に出会おうが、レンタルしようが好きにすればいいと思うのも真実だった。
だがそれはとあることが根底にあって思う事だった。
人生なんて”死ぬまでの暇潰し”なんだから
いよいよ麻美の黒い心の裏側が見える!!
大切な物
麻美が初めて大切なものを失ったのは4歳のときだった。
そのたいせつなものは、ベア太と名付けられていた熊のぬいぐるみ。
ベア太が45ℓのポリ袋に入れられた姿は、麻美の脳裏に深く刻み込まれた。
同じ年に他界した母方の祖母よりも……
「品格は教育から」というのが麻美の父の口癖であり、自分たち姉弟が粗相をすると、代わりに母が怒られるのが日常茶飯事だった。
もはや偏見ともいえるくらいに、主観的イデオロギー外の物。
同年代の子供が触れるような、絵本やキャラクターグッズなどは徹底的に排除されていた。
幼い頃に締め付けをしすぎると、大人になった時の反動がすごくなるぞ(体験談と周りにも似た人がいて…)
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水面下で描かれる短経図
麻美が「その人」と初めて会ったのは9歳の頃。
白馬さんと呼ばれる人の長男と会い、その人は「どうも初めまして、麻美ちゃん」と口にした。
そんな彼に麻美は「初めまして…」と戸惑いながら言った。
親同士が水面下で描いていた矩形図を知らなかった当時の麻美にとって、俗に言う”家柄の良い”人たちとの食事会が日常になっていた麻美には『少し歳の離れたお兄さん』としか思っていなかった。
中高は一貫性のお嬢様学校に通っていた。
今にして思えば、父親の口癖を基礎にして建てたような校風で、風紀に厳しく、女子高という事もあって異性間交流はほぼなかった。
それに加え、校長や担任にまで父親の息がかかっていたことを卒業してから知った。
その間も学校から帰ってくると、部屋が整理整頓されていることも日常茶飯事。
その度に写真や本など何かしらのオーディションに落選したものは捨てられていた。
ここまでは父親の思惑通りだったのかもしれないというほどに「品行方正」で「意のまま」の娘だった。
自分だって、こんなペットがいたら飼いたいと思うくらいに。
当時の麻美にとって”それ”は疑問というほどの形があるものではなかった。
幼い頃から麻美にとって当たり前のことであり、母親のお下がりのスマホがあれば、最低限の友達とは繋がることができた。
そんな日常で、麻美はカラフルなパズル玉を繋げるのに忙しかった。
ただ父親にとっての唯一の誤算は、ペットの心にも”自由への灯”があったことだった。
自分にとっての当たり前のことが、他人にとっても当たり前とは限らないんですよね・・・
必ず!幸せにするから!
「…う、うん…」
頬を赤く染めながら返事をする麻美の姿と声を聴いて、目の前にいた男子は「ほんと!?しゃーっ!!!」と喜んだ。
彼は隣の高校に通う浦島太郎という嘘のようで本当にそんな名前の男の子。
誠実で明るい家族思いの優しい人。
何度か駅で見かけたことがあったが、共通の知人を介して知り合い、同じソシャゲをやっていたことで盛り上がり、3週間後には付き合うことになっていた。
もちろん親には内緒だった。
彼は春から通う高校が進学校でないことを気にしていたし、事情を話したらゆっくりでいいと言ってくれた。
そんな彼とは、月並みなデートをして下らないことで笑い合い。些細なことで喧嘩して、ありふれた物を食べ、ありきたりな将来を語って、青臭く何かを誓いあったりもした。
今思えば照れくさいくらいに平凡で、危なっかしくも刺激的なその綱渡りに、女友達と遊ぶ時とも違う何かを得られると感じていたのも事実だと思う。
そんな日常を送っていたある日、彼に言われた。
「必ず!幸せにするから!立派になって!お父さんも説得して!絶対に幸せにするから!」
その言葉に笑みを浮かべ、麻美は「うんっ」と返事をした。
そんな出来事を境に、麻美にも大きな変化があった。
純粋な頃の麻美ちゃん、可愛いな
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確かな「革命」
麻美の中にあった”自由への灯”はより”明瞭”になった。
今まで親の言う通りに成長し、敷かれたレールの上をただ歩いてきた麻美にとって、人生初の光り輝く脱線行為。
それは麻美の中の『何か』を照らし出すのに十分だった。
お互いに柵から逃れ、大切な物を大切にし、この人との未来を生きたい。
当時はそんな風にまで思っていた。
後で振り返ると、そう思えた。
時とともに次第に大きくなっていった”それ”は、麻美にとっては確かな”革命”だった。
「ちょっと麻美ちゃん!大丈夫だったの!?」
「ごめん、抜け出して来ちゃった」
雨の中、傘も差さずに走ってきた麻美を、太郎は心配する。
その時にとった行動は、15年の暗闇の中で僅かに光る、この先「自由な自分」を勝ち得るかもしれない”希望の光”だっだ。
昔のドラマを再放送で見た時に見たことがあるような展開だ!
人の人生まじ何だと思ってんの!!?
ある日のこと。
「なんで!?太郎と別れろって…!!!」
麻美の声が家のリビングに響く。
そんな麻美に、麻美の父は静かに言った。
「お前は白馬さんと結婚するんだ」
「……!!」
父の言葉を聞いた麻美は青ざめるものの、母親の制止を聞かずに父親に言う。
「は!?なんでお父さんにそんな事決められなきゃいけないの!?」
「お前は俺やお爺さんが守ってきた家族がどうなってもいいのか!?」
「は!?キモ!!自分の非力さを棚に上げて!!家族まで政治利用して何が父親よ!!」
麻美の感情が爆発する。
「人の人生、まじ何だと思ってんの!!?」
だがその言葉に効力はなく、父は麻美をビンタすると「子供には分からん」と言った。
「……!!」
麻美は人は長いものには巻かれるということを知った。
抗えぬ環境とその自分の無力さに打ちひしがれ、膝を折るようにして人生を選択していくのだと。
・・・・・・・・・・・・
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別れよう
そして後日のことだった。
「君が浦島君?」
「え?」
麻美の彼氏である浦島太郎にある男が接触する。
そしてその夜のことだった。
『ごめん他に好きな人が出来た。別れよう』
「はっ。はは…ははは…」
麻美は涙を流した。
その瞬間に、麻美の中にあった小さな赤ちゃんが死んだような気になった。
それでも麻美にはどうすることもできなかった家を出て全く別の人生をと考えたこともあった。
だが進学を控えている状況で、全てを捨てて一身自立なんて現実味がなかった。
それ以前に、麻美にはそれを実現する知識も能力も勇気も欠けていた。
つまりそこまででもなかった……
「我が子だ」なんて慈しんだフリをしながら、結局はその敵である親に育てられる安寧を選ぶ、無力で社会構造という名前の現実に抗えない”小市民”だった。
だが、かつて父親に投げるために手探りで無我夢中で掴んだその石は、実は特大のブーメランであった。
でも初めからそうなのかなとも思っていた。
『太郎と幸せになりたい』と願いながらも、親の庇護を疎ましく思う幼稚な子供の”自立本能”である。
それには『恋』よりももっと分かりやすい『反抗期』という名前があった。
麻美がどうして、和也とちづるに執着するのかが疑問点になるのには変わりないんだよなぁ・・・
恋する2人を見ると…
真実が『恋』だったのか『反抗期』だったのかは麻美には分からない。
ただ少なくとも自分の思考を成文化して切り分け、論理的に説明できる人なんていないように思えたし、そもそも『恋』だの『愛』だのなんて言葉も飲み会で盛り上がるための後付けのラベリングにしか思えなくなっていた。
だからと言って何かを恨んでいるわけでもなく、打破したいリアルがある訳ではない。
「ヒトの為」なんて偽善も「自分だけ」なんてエゴも等しく意味なんてなかった。
結論として、麻美は”恋する2人”を見ると壊したくなる。
『どいつもこいつも”恋人ごっこ”してんじゃねぇよって』
そんな思いを心に秘めながら、麻美は目の前にいるちづるに封筒を渡そうとしながら言う。
「これが”最後のチャンス”。行こっ。真実を話しに」
そんな麻美の顔を、ちづるは険しい顔で見るのだった。
うーん・・・
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満足度215:楽園と彼女28の考察
物語に触れ、感想を紹介した次は、満足度215:楽園と彼女28の考察をしていきます。
本当に壊したいのか
麻美は『”恋する2人”を見ると壊したくなる』と思っていることが明らかになりました。
しかし今までに麻美がこんなことをしてきたような事実は作中で出てきておらず、また本当にそれが目的ならば、合コンなどに参加する理由があるので納得はいくのですが、全てがすべてそのために行動しているようには、私には見えませんでした。
ただ今回の話で出てきた浦島太郎に、何かを感じました。
それは”浦島太郎”が”木ノ下和也”に似ているように見えたことです。
思えば、麻美はどうして和也と付き合ったのでしょうか?
麻美と付き合うまで和也は恋人がおらず、恋する2人を壊すという状況が成立していません。
仮に和也と別れたんだから、恋する2人を壊せたではないかという人もいるでしょう。
その場合、麻美が壊される対象に含まれているために、壊すという目的に疑問を感じてしまいます。
また和也とちづる、和也と瑠夏、和也と墨という3パターンを麻美は見ているのにも関わらず、真っ先に和也とちづるのペアを対象として判断しました。
いずれも和也が含まれており、また深く関係性があるのがちづるであることは確かでしょうが、仮にも真に和也の恋人である瑠夏を壊しに掛からないのには、疑問を感じてしかたがありません。
現状を考えれば、ちづると和也の関係を壊せたとしても、和也の心が沈んだ隙をついて瑠夏が入り込んでくる可能性が大きいです。
結果的に恋する2人が誕生する可能性がある以上、瑠夏を壊しておくのは、万が一の場合の保険にもなるはずです。
ただこれがない以上、やはり恋する2人を壊したくなるから和也とちづるの関係を壊そうとしているというのには疑問を感じてしまいます。
やっぱり、和也がカギというか、むしろそこにしか執着する理由がないように見えるんですよね。
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感想・考察記事
まとめ
今回は2021年12月1日(水)日発売の週刊少年マガジン1号に掲載された『彼女、お借りします』の満足度215『楽園と彼女28』の感想や考察を語りました。
みなさんは今回のお話を読んだ時にどう思いましたか?
ぜひコメント欄などで感想を教えていただけると、嬉しいです。
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