【感想・考察】『彼女、お借りします』満足度211：楽園と彼女24

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【感想・考察】『彼女、お借りします』満足度210：楽園と彼女23

2021年10月27日（水）発売の週刊少年マガジン2021年48号に収録された『彼女、お借りします』満足度210：楽園と彼女23の感想や考察みたいなものを語っています。みなさんもお手元に漫画をご用意していただくと、より楽しめるかと思います。

kuonayano.com

2021.10.27

満足度211：楽園と彼女24

まずは満足度211：楽園と彼女24の物語に触れつつ、感想を語ります。

完全終了のお知らせ

和也は一人、ホテルの部屋の中で焦っていた。
和也の脳裏に浮かぶのは、和の「21年分の感謝を申し上げる。今日という日を拵えてくれて本当にありがとう」という言葉。

「もう絶対、言えねぇ…っ！！！」

和からの感謝の言葉を聞いた和也は、和の考えが分からず、ハードルの上がり方や感謝された記憶が今までにないことを口に出しながら騒いでいた。

それは和から自分とちづるの関係を疑われていたことに対して謝られたのに、やっぱり嘘でしたとはシャレでも言えないからだ。
そんなことをすれば勘当絶縁必死な上に、和が絶対に立ち直れなくなるのではと和也は考える。

縁起でもないが、勘当された後に和が亡くなった時に両親の元を訪ねると、和が「晴美さん、儂に嘘をついている事はないか…？」と言っていたと言われるところまで想像してしまった。

まさかの想像もしていなかった”感謝地獄”に和也は罪悪感が凄く出てくる。

そして少し経って落ち着くと、和也は段々とちづるのことが気になってきた。

『水原…今一人で何を…』

明らかに一人になりたいって感じだったが、ものすごく深刻そうだったから、今も一人で思い悩んでいるのだろうか。

麻美はちづるに何をしたのだろうか。
自分の前ではそんな雰囲気は微塵も出していなかったが、もしかしたら麻美は怒っていたのかもしれない。

色々な考えが頭の中に浮かんでくる。

この旅行で全てに決着をつけるはずだったのに、あっちもこっちも事態悪化で何もうまくいっていない状況。
ことごとく「告白」なんていう雰囲気ではない。

「…ダメだ　詰んでる　全部… もう…どーにでもなれ…」

自暴自棄になった和也は、床の上に寝転がる。
そしてふと腕を伸ばし、スマホが手に当たる。

「！」

和也が持っているスマホ。
それはかつて、ちづるがプレゼントしてくれたものだった。

正直に言おうとしていたところに感謝。
確かに詰んでる感じがします。
でも、和の行動を考えると、和也の背中を押したかったんじゃないかなとも思います。
全てに気がついて。

思い出のいく先

和也はスマホカバーをきっかけに、ちづると過ごした時間について思い出していく。

「お詫び　お詫びだから」

照れながらも、スマホケースをプレゼントしてくれたちづる。

「自分　うさぎかよって思ったらまた呼んで」

笑顔で去るちづる。

それからレンカノとして和也の彼女だと言ってくれるちづるの姿。
プールで自分を助けてくれた和也を少しは男らしいところがあると評価するちづる。

どんどんどんどん思い出が溢れてくる。

「レンカノの事がバレて恥をかくのは…あなたよ？」
「どもっ」
「この人が私を一生幸せにしてくれる人かもしれないって、考えたことはありますか？」
「ごめんなさい。あなたに彼女、作ってあげられなかった」

その他にも色々と思い出はある。

バッティングセンターに行ったり、食事をしたり、落ち込んでいるところを励ましたり励まされたり。
誕生日を祝われたり。

遅れてでも和也の彼女として振る舞うために来てくれたり、ちづるの祖母のために映画を作ってちづるに感謝されたり。

その思い出が、和也を決心させた。

『そうじゃねーだろ！！』

和也はスマホを握りしめて立ち上がり、部屋を出た。

ついに動き出したぞ！！

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いつまでも優しい水原に甘えて

部屋を飛び出した和也は、エレベーターに乗る。

『ごめん！！！水原…！！！ずっとずっと…！後回しにして…！ずっとずっと…逃げ続けて…！！』

まず最初に出てくるのは謝罪の言葉。

『全部俺が悪いんじゃねえか…！！何もかも……ッ　俺が…ッ　はっきりしねぇから……！』

次の言葉は自分の態度の反省。
和を勘違いさせたのも、麻美を怒らせたのも、ちづるを悩ませてるのも全て自分が原因だからと。

『初めから決まってた！！ばーちゃんに本当のことを言う！！それで全てが終わるんだって！！』

廊下を走り続けながら、当初の計画から大きく外れた現状について考えていく。

『でもそれすら出来なくて　いつまでも優しい水原に甘えて　その上　「好き」にまでなって…っ』

ついに和也の本心が露わになる。

『最近の君を見てると思うんだ　距離が近付けば近付くほど抱き締められない自分に距離感じて、君が少しでも悲しそうにしてると、何もしれやれない「無力感」ばっかりが募って…』

会えない日はちづるのことばかりを考えてしまう。
会える日も嫌われないか不安になる。
でも目の前で笑ってくれると全部どうでもよくなる。
そんな現状が、日本中が大笑いするほどのピエロで滑稽で馬鹿馬鹿しいことなんて分かっている。

でも和也は止まらなかった。

『きっと俺は今からフラれに行くんだ…』

和に本当のことを話して、ブチギレられて家を追い出される。
ちづるは自分ではない他のイケメンと付き合う。

それはきっと死ぬほど苦しくて、めちゃくちゃ辛くて悲しい。
何もかもぶっ壊したくなる駆体にこの世の全てが嫌になるかもしれない。
きっと死ぬまで引きずる。

『それでも最近は思うんだ　それで諦められるなら　それは「恋」じゃないんじゃないかって』

前にちづるは「欲しいものがあるなら何もかもかなぐり捨てて掴みに行くぐらいの方が人生は楽しいわよ」と言っていた。

だから和也は前に向かって走り続ける。
例え全てを失っても、もう他に何もいらないから。

『夢が叶えばいい　他は何も要らない』

和也は誰に嫌われてもいい覚悟を決めていた。

『”君”が欲しくて堪らないんだ！！』

和也はもうこの気持ちから逃れる事はできない。
和也は思う。
こんなに辛くて、こんなに苦しいならと

『あの日　君をレンタルしなければよかった　そんな風にすら思うよ』

そして和也は、教会へと続く扉を開いた。

心臓が痛くなるくらいにドキドキしてきました

聞いてくれ

教会へ続く扉を開いた和也。

「え…っ？」

そのことにちづるは目を見開いて驚く。
現れた和也は、汗をかいていて、息切れをしている。
それでも和也は止まらなかった。

「聞いてくれ！水原！」

和也の声が宙に響いた。

確変入ってますって！！これ！！

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満足度211：楽園と彼女24の考察

物語に触れ、感想を紹介した次は、満足度211：楽園と彼女24の考察をしていきます。

和は知っているかもしれない

和也は今からちづるに告白をしようとしています。
そしてその結果は、まだ誰にも分かりません。
でもこうなるのは、実は必然だったのかもしれません。

和也がちづるのような女性を射止められるのか、ずっと彼氏として続けていられるのか。
そのことに和が疑問を持っていたのは確かでしょう。

だからこそ、今まで幾度となく二人に接触し、ことあるごとに彼氏彼女について意識させていたのではないでしょうか。

和の中で疑問は完全には解消されてはいなかった。
でも、二人のことを信じてみよう。

そう思っていた矢先の、ちづると麻美の話。
そのことで、和は真実に気がついたのではないでしょうか？

ちづるは和也の本当の彼女ではないと。
でも和は最終的に判断したのではないでしょうか。

今はちづるは和也の彼女ではないが、和也のために一生懸命になっていると

自分の孫である和也が、ちづるのことを本気で好きなのは明らかだったに違いありません。
でもちづるはどうなのか？
そんなことを考えていた矢先の真実。

でもその真実は単なる嘘ではなく、恋に発展するかしないかの途中経過でしかなかった。
半分嘘で、半分は本当である。

だからこそ、和は動いたのかなと思います。
自分の孫である和也を本気にさせるにはどうしたら良いかを考えて。

そして、二人のしがらみになっているであろう麻美に接触を図った。

私はそんな気がしてたまりません。

真実は嘘ではないが、本当でもない

和と麻美が会った時、二人は何を話すのでしょうか。
今までのように、単なる経営相談のようなものであれば、二人の会話は和やかに終わるでしょう。

しかし今回はそうはなりません。

和は麻美に、明確な確認を取ろうとしていると考えられるからです。

なぜちづると一緒にいたのか。
ちづるはどうして和也の被害者と言えるのか。
そして何を隠しているのか。

麻美が何をどこまで話すかは分かりません。

ただ、和也がちづるをレンタルしていることだけを話すことは間違いない気がします。
彼女の性格からして、自分が和也と関わるきっかけである付き合ってすぐに振ったという部分については話さないでしょう。

もっとも、和也の様子などから和が予測して話す事はあり得そうですが。

麻美が和に真実を告げたとしても、和は動じることはなさそうなのが、安心ポイントです。

麻美のいう通り、二人が彼氏彼女であるというのは嘘かもしれない。
けれど、それは本当に嘘なのだろうか。
ちづるが和也のことを何も思っていなければ、とっくの昔に関係は切れているはずだ。
和也側からではなく、ちづる側からいくらでも関係を断つことができたはずなのだ。

今回の旅行にしても、急遽別の予定が入ったことにして来ない選択肢だってあった。
でもついてきた。

ちづるが自分で考えて、その結果が今の現状である。
そして最大の失策は、二人を貶めようとしてしまったこと。

そのせいで、嘘が半分だけの嘘になり、そして真実になる。

結果として、和の想像する最大限幸せな未来に繋がり、麻美の思い描く和也の人間関係の崩壊は訪れない。

それがこの物語の結末なのでは？
私はそう考えます。

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